BOLD効果とfMRIのメモ
fMRIの原理である、BOLD効果についてのメモです。
BOLD効果を誰でも分かるように、簡単に説明していきます。
BOLD効果とは
Blood-Oxygenation-Level Dependentの頭文字をとって、BOLDと略されている。血液酸素化レベル依存性などと訳される。
ヘモグロビン分子は、磁気特性を持ち、その特性は酸素と結合しているかどうかによって異なる。
オキシヘモグロビン(oxy-Hb)は、酸素と結合したヘモグロビンで、反磁性である。
デオキシヘモグロビン(deoxy-Hb)は、酸素と結合していないヘモグロビンで、常磁性である。
BOLD効果の流れ図
- 反磁性とは、磁場に対して反対に作用する物質の特性で、局所の磁場強度を弱める。
- 常磁性とは、磁力線を密にさせる物質の特性で、局所の磁場強度を強める。
- 強磁性とは、常磁性よりも、磁力線を密にさせる物質の特性である。
BOLDコントラストは、脳領域に存在するデオキシヘモグロビンの総量に依存する。
デオキシヘモグロビンの総量は、酸素消費と酸素供給のバランスに依存する。
酸素消費は神経活動に依存し、酸素供給は血流量に依存する。
- デオキシヘモグロビンが局所的に増加すると、BOLD信号は減弱する。
- デオキシヘモグロビンが局所的に減少すると、BOLD信号は増強する。
神経活動によりBOLD信号が増強されるのは、オキシヘモグロビンがMR信号を増強するからではなく、MRI信号強度を減弱するデオキシヘモグロビンがオキシヘモグロビンに置き換わることによる。
デオキシヘモグロビン量は、神経活動により消費された酸素量だけでなく、血流量や血流量の変化に依存し、これらが合わさってBOLD血流動態応答を形成する。
実験タスク(刺激)と、BOLD信号は下のようになる。
血流動態応答
BOLDは、局所神経活動に続いて生じるT2*画像におけるMR信号の変化である。
血流動態応答はボクセル内のデオキシヘモグロビン量の減少により生じる。
神経活動により引き起こされるMR信号の変化は、血流動態応答として知られている。
神経応答は、感覚刺激後数ミリ秒以内に起こるが、血流動態変化は、1〜3秒後である。
血流動態応答はそれを引き起こす神経活動に遅れて生じると言われている。
ベースラインから上の変化を”正のBOLD効果”(positive BOLD)と、
ベースラインから下の変化を”負のBOLD効果”(negative BOLD)と呼ぶ。
血流動態反応関数hrfをpythonでモデリング
ブロックデザインとhrfの畳み込みモデル
メモ
神経細胞が活動すると酸素消費量が増加する。
・酸素を含む赤血球であるオキシヘモグロビンが酸素を含まないでオキシヘモグロビンに変化する。↓
つまり、神経周囲が一時的に酸素濃度の低下を起こす。
↓
直後に脳血流量が急激に増大する。
血流量>酸素の消費量 の関係が出来上がる。
この結果、神経細胞は酸素を消費しきれず、オキシヘモグロビン濃度が増加する。
Important
オキシヘモグロビンは、反磁性体
デオキシヘモグロビンは、常磁性体
オキシヘモグロビン濃度の増大は、MR信号の増強を引き起こす。
- 局所的な神経活動によって、酸素の消費量が増大
- 酸素消費量の増大によって、でオキシヘモグロビンが増大
→T2*緩和時間が短縮(一時的にT2*信号の減少) - 酸素供給のために血流量が増大
- 血流量の増加は30%~50%に達し、酸素量が増大
- デオキシヘモグロビンが急速に灌流され、局所のデオキシヘモグロビンが減少
- 5.により、磁場の均一度が上がり、T2*緩和時間が延長(T2*信号が増大)